コロニアル(カラーベスト)屋根の塗装

一般的に普及している屋根材の一つにスレートがあります。

商品名がコロニアルとかカラーベストとかいうのでそう呼ぶことのほうが多いでしょう。

このコロニアル、放っておくと風化し苔や藻が生え外観上みすぼらしくなります。

自然な趣きでいいという人はそのままでもいいと思いますが、15年に一度ぐらい点検を兼ねて塗り替えてしまう事を勧めます。

塗装実例

まず、塗装前に棟板金等の補修をします。

この屋根など絶対補修しないといけません。
だって棟そのものが無いんですから!

棟板金の補修

ここのオーナー様は地面に落ちてる棟板金を見て「誰が置いてったんだろ?」などとのん気な事をおっしゃってました(笑)。

さすがに塗装屋の私には直せないので板金屋さんに頼んで補修してもらいました。

この時初めてわかったのですが、最近の棟の下地(ヌキ)は木製じゃなくて樹脂製なんですね。
やっぱりモチはモチ屋です。

このように棟を新規で取り付けた場合は良いのですが、既存の棟をそのまま使う場合は釘の補修します。

大抵釘がなかったり飛び出してたりします。
これを打ち込み・増し打ちして、釘頭をシール材でふさぎます。

これだけでもメンテナンスする価値はあると思います。

苔・藻・泥の除去洗浄

高圧洗浄出来ればいいのですが、様々な事情で洗浄出来ないケースもあります。

この現場は足場を架けることが出来無い上に隣接するご近所さんがあまりにも近くにあります。

仕方がないので、手間はかかりますがワイヤーブラシ等で手作業で除去し、水で流します。

拡大するとこんな感じです。結構落ちるのがわかるでしょうか?

屋根全面をこすって水洗いするので時間がかかります。

なるべくこんなふうになるべく高圧洗浄機で洗いたいですね。

下塗・上塗塗装

高圧洗浄後、上塗りをする前に下塗り(シーラー)を塗装します。
シーラーとは上塗り塗料の吸い込みを止め密着させる下塗り専用の塗料です。
コロニアルの場合、私は特に指定がない場合日本ペイントのファイン浸透シーラーを使います。

シーラー塗装後上塗りをするわけですが、ムラにならないように塗るには私なりのちょっとしたコツがあります。

このライトグリーンの屋根をブラックで塗装します。

まずコロニアルの小口をしっかり塗る為、瓦5~6枚を縦方向にローラーを転がし右から左方向へ一気に塗っていきます。

右から左というのは私が右利きだからで、右利きの人はそのほうがやりやすいと思います。

この時注意しなければならないのはローラーのつなぎ目を真っすぐにしないといけません。


これではダメです。
つなぎ部分を乾く前に塗る事が出来ればいいのですが、予想以上に乾きが早い時など塗りつなぎ部分が表れてしまいムラになります。

こんな感じで真っすぐにしておきましょう。

左端まで塗り終わったら右端に戻り、今塗った下の段を塗ります。

こんな感じでさっき塗った一番下の瓦の小口をしっかり塗ります。
その時に5~10㎜ほど重なる部分がどうしても出来てしまいますが、下から見ればほとんど目立ちません。

2回目を塗装する時は縦方向ではなく横方向に転がします。
経験上、そのほうがムラになりにくいような気がします。

これでムラなく塗装出来ました。
ですがメタリック塗装の場合はこの限りではありませんので参考にしないでください。メタリックは吹き付けましょう。

縁切り

コロニアル瓦の内側にたまった湿気や水分を外に出すため、塗装でくっついた瓦と瓦を切り離す作業を「縁切り」といいます。

よく縁切りは絶対必要だという人がいます。
しかし下の写真のような現場では必要でしょうか?

絶対必要なケースもあります。
下の写真を見てください。

塗装する前からこの状態です。
完全にふさがっています。

前回塗装した業者が縁切りしなかったようです。
このまま塗装すると塗装終了後に縁切りする時、仕上がっている塗装面にキズをつけてしまいます。

なので最初に縁切りすることにしました。

縁切りカッターを金槌で叩かないと瓦がはがれません。
一日手間かかってしまいました。

このあと「タスペーサー」という器具を瓦の隙間に入れて塗装しました。
タスペーサーを入れれば縁切りする必要はありません。
ちがう現場の写真ですが、わかりやすいので乗せます。

この器具をグッと差し込み施工します。
瓦1枚に対して1か所で十分だと思います。

でもこのタスペーサー割れやすい瓦での使用はNGです。

そうなるとやっぱり縁切りしないといけないケースがあり、縁切りするのですがすごく気を使います。

塗装後最低1日(本当はもっとです)たってから、仕上がった塗装面を汚さないように靴底をキレイにして屋根に上ります。
それでも靴底の形状によっては足跡がついてしまう時がありますが。
それからカッターナイフや縁切りカッターなどで地道に一枚一枚瓦の隙間を切っていきます。

元請さんにお願いです。
なかなか手間のかかる作業なので、縁切りする時はその分手間賃ください(笑)。