コールタール、昔はトタン屋根や外塀の木材によく塗ってありました。
でも最近で塗装した事があるのは、プロのペンキ屋でもなかなかいないのではないでしょうか?
実際に作業してみてわかったんですが、塗装方法そのものは難しくありません。
「技術」より必要なものは「根性」です。
コールタールには独特の強烈なニオイがあります。
根性とは、そのニオイの中で長時間作業する根性です。
なぜコールタールを塗装するのか
令和の今現在、新規でコールタールを塗装することはまずないでしょう。
最低でも合成樹脂ペイント、いわゆるペンキを塗装するはずです。
コールタールのデメリット
- 有害性・発がん性を有する
- 耐久性が悪い
- 色が黒しかない
- ニオイがキツイ
- ベタつく
デメリットばかりだとアレなので、メリットをあげると「安い」というのがあります。
ですが、同じぐらい安い塗料があるので普通はそれを塗ります。
それでも塗装しなければならない場合は、既存の塗装がコールタールの場合です。
コールタールは油膜そのもので、その上に塗装しても塗膜が密着しません。
なのでコールタールの上にはコールタールしか塗装できないんです。
材料屋さんから聞いた話
塗装後5年以上経過した場合ならシルバー塗料を下塗りすれば色は付けられるみたいです。
シルバーの顔料はアルミの粉なので、アルミの膜を作ればその上に塗装できるという理屈だそうで。
だけど耐久性は?だそうです。(笑)
実例
現場は農家の器具なんかを保管しておく建物。
納屋というのでしょうか、私の地元栃木県ではこういった建物のことを「あまや」って呼びます。
方言でしょうか?
漢字はおそらく「雨屋」だと思います。
下地処理
下地処理はお約束の高圧洗浄。
本当はグラインダーにカップをつけて削りたいのですが、穴が開いてしまうと元も子もないのでやめます。
コールタールがサビと一緒に固まっている部分が結構あって、なかなか手ごわいです。
通常のトタンと比べて倍以上時間がかかりました。
使用材料
吉田製油所の精製コールタール。
コールタール、大手塗料メーカーからは出していないようですね。
どうやら一番メジャーなのがこの製品。
1缶で160㎡塗装できるそうですが、本当?
塗装
いつものようにハケとローラーで右から左方向へと塗装していきます。
希釈はラッカーシンナーを使うそうなので、ラッカーシンナーをちょこっと入れました。
一番安い洗浄用のやつで十分です。
気温で塗りやすさがかなり変わります。
真夏の屋根なら無希釈でもスイスイ塗れるのではないでしょうか。
1缶で160㎡塗装出来る予定でしたが、この現場は1缶で100㎡しか塗装出来ませんでした。
なかなか計算通りにはいかないようです。
後日、お施主様が2回塗りを希望なので、もう一度塗ります。
1回目塗装後、1週間経過しているにもかかわらずベタついています。
1週間で乾くと思っていたのですが、甘かったですね。
そんな中での塗装、足の後ろがベタベタです。
もうこの靴は使えないでしょう。洗っても落ちねえし。(怒)
まとめ
今回塗装して、心の底から思いました。
コールタールは塗らないほうがいい!
「一度塗ったら次もタールじゃなくちゃダメ」とか「使った道具はもう使えない」とか「ベタベタしてキモイ」とか色々ありますが、一番ダメなのが「ニオイ」です。
どれぐらいクサイかというと、
- 風向きによるが100m離れても匂う
- ニオイで飯が食えない
- 使用した作業着と一緒に洗濯した洗濯物がクサイ
- というか作業着で家の中に入るなと言われた
- 娘が近づいて来ないのはコールタールのせいに違いない
これぐらいクサイ!
最後にもう一回言わせてもらいます。
コールタールは塗らないほうがいい!
追記 (令和6年5月)
後始末について、何件か質問がありましたので追記します。
洗濯機にニオイが移りました。
私はこれぐらいのニオイは大丈夫だと思い、一回違う衣類を洗濯しましたが、家族には臭いんだそうです。
仕方がないので、洗濯槽カビキラーでクリーニングしました。
私はこれで大丈夫だと思ったのですが、家族は不満そうでした。
材料屋に問い合わせたら、重油と同じように処理できるそうです。
よく考えたらコールタールって重油ですよね。