光触媒の塗装

強力な耐汚染性と空気清浄能力を持つ光触媒塗料。
非常にいい材料だと思います。

でも結論を最初に言ってしまうと、おすすめ出来ません

1番の理由は、とにかく高い!

実行単価は1㎡あたり4〜5千円します。

最近流行りの「ラジカル制御塗料」なら2回塗り替えられる金額です。

光触媒は20年ぐらいの高い耐久性も売りの一つですが、光触媒一回分の値段で2回リフォーム出来るならその方がいいのでは無いでしょうか?

しかしおすすめするケースもあります。

何らかの理由で2〜30年メンテ出来ない、とか、白い壁に水垢が付くのが許せない、とかです。

塗装実例

光触媒と言えばTOTOハイドロテクトが一番有名で施工実績も多いのですが、なぜか今は販売していないので、セブンケミカルのセブンチタニックを使用しました。

吹付用ガン

光触媒を施工する際に絶対必要なのが低圧で細かい霧が出る吹付用のガンです。
私はいつもこのカップガンを使います。


イワタLPH100(今は製造していません)

塗装用のカップガンと言えばイワタのW100がお約束ですが、そのW100より細かいパターンが出るLPH100。
今は進化版のLPH101が発売されています。

確かTOTOは、塗装器具メーカーと共同開発で光触媒専用のガンを出していたと思いますが、均等に吹き付けられればなんでもいいらしいです。
ハイドロテクト講習時の講師が言ってました。

下地塗装・プライマー・上塗塗装

ハイドロテクトは専用の塗料を塗装した後、プライマー塗布し光触媒塗料を塗布するという工程でした。

理由は、光触媒の酸化チタンが表面の有機物を分解するのはいいんだけど下地の塗装も有機物なので分解しないようにバリア層を作る塗装じゃないとなんとかカントカ・・。

でも、セブンチタニックは専用の塗料を用意していません。

で、この現場の設計が考えた下地の塗装がフッ素!

なんとまあ高価な塗料でしょう!
フッ素+光触媒という夢の組み合わせです。

光触媒の塗装方法は、プライマー・上塗とも吹き方は一緒で、あまり吹きすぎないようにしてなおかつ全体的に吹けていればOKです。

ダレるぐらい吹くのはNGです。

ところが、セブンチタニックは無職透明な液体なのでちゃんと吹けてるのか不安です。
ハイドロテクトは少し青みかかってたので少しは楽でした。

セブンケミカルさん、材料に少し色付けてください(笑)。

光触媒は現場施工には向いてない

いつも思うのですが、光触媒は現場施工は向いていません。
工場のラインなんかで施工するにはいいと思いますよ。

現場だと「風が強いだの狭くて吹けない」だの「足場が当たってやれねえ」だの「他の業者と絡んで吹き忘れちまった」だの、いろんなトラブルがあります。

しかも光触媒は施工後すぐ吹き忘れが分かるのではなく、数年たって水垢が付いてからから初めて吹き忘れた部分が分かります。

その場所が高層ビルの壁面だったらと思うとゾッとしますね。保障なんかつけてたらクレーム処理が大変です。(TOTOは7年保証を付けてた)

私の予想ですが、大手メーカーが撤退したのはそんなとこなのでは・・。

後日談

打ちっぱなしコンクリートの上にモルタルしごき、その上に白のフッ素塗料を塗り光触媒、という30年間メンテナンスフリーを狙った設計さんはガッカリだと思います。

耐久性耐候性最高な材料にも欠点があります。

分かりづらいですが、現場の写真を見てください。

なんか躯体に水が差してたらしく、モルタルから剥離して表面がプカプカ浮いてます。

いくら高性能の塗料でも、下地からはがれてしまうと敵いません。

これを完全に補修するには剥離部分を除去乾燥後モルタルで段差補修・シーラー塗装・フッ素塗装・プライマー塗装・光触媒塗装、という工程です。

30年間水垢とは無縁の真っ白い白い壁をイメージしたお客様、すみません。
ここの現場の設計はお金儲けに走ったようです。